【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「……そうか。深くは聞かないが、君にもいろんな理由があったか……それを聞きもせず、一方的に攻めた部分もあった。すまない一色クン」

「もういいよ、気にしてないから」

「ありがとう……では、引き留めて悪かったな」


「近衛クン、一色クン、また明日」とやわらかい笑顔を私たちに向ける。

その言葉に、私と彼方は帰ろうと自分のカバンを持つが……


「あれ、鬼龍院くんはまだ帰らないの?」

「今日は家の者が迎えが来ることになっていてな。もう少し時間があるから、ここで待たせてもらうことにするよ」


と言うことは、鬼龍院くんとは本当にここでお別れだ。

私は「じゃあまたね」と声をかけた後、教室の扉に手をかけた。


「あ、近衛クン!」


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