【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
そんな大層なことを言ったつもりも覚えもない。
私は私の本心をただ伝えただけだ。
つたなくて、幼稚で、鬼龍院くんが言っていたようにまるで小学生の頃書いた読書感想文のような……そんな言葉。
「私の言葉なんてそんな……大したことじゃ」
「大したことさ! この僕にあれだけ恥ずかしい思いをさせたんだぞ!? 近衛クンはもっと自分に自信を持っていい!」
「へ!?」
ギュッと勢いよく両手を握られる。
驚いたのは私だけではなく、彼方が「っ!?」と声にならない声をあげた。
「柚月に、触らないでっ」
「あ、ああああこれは失礼した!!」
「う、ううん大丈夫、ちょっとビックリしただけだから」
「柚月から離れて」
フーッと猫が威嚇するように、鬼龍院くんと私の間に彼方が割り込んだ。