【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「俺の目の前でよくそんなこと言えるね、あんた」
「なんだい、近衛クンのただの幼馴染みである一色クン? 君の戯れ言に付き合ってる暇は僕にはないんだが」
『ただの幼馴染み』という部分を異様に強調して、鬼龍院くんは彼方のことを横目で見た。
「……あんたなんかに、柚月は渡さない」
「ああ、こちらもそのつもりだ。さあ近衛クン!」
「ふぇっ」
思わず間抜けな声が出てしまう。
そんな私に鬼龍院くんは満面の笑顔で、
「僕の心を奪ってしまったんだ。これから、宜しく頼むよ?」
まるで星が飛んでいそうなウインクを一発、鬼龍院くんは見事にキメたのだった。