【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
鬼龍院くんを呪ってしまいそうな顔をしている彼方を、なんとか落ち着かせる。
す、凄い顔してたな彼方……。
「えーっと鬼龍院くん! 鬼龍院くんと私はただのクラスメイトだから……その」
「これから〝ただのクラスメイト〟という事実をくつがえせばいいだけの話だろう?」
「それ、は……」
「それともなにかね? 君は僕のことは嫌いかい?」
「き、嫌いじゃない! 嫌いじゃないけど……」
「では僕の奥さんになる未来もあるかもしれないな!!」
だから何でそう話が飛んじゃうの!?
「あ、鬼龍院まだ残ってた! よかったー!!」
突然、後ろから鬼龍院くんの名前を呼ぶ声がしたと思ったら、一人の男の子が駆け寄ってきた。
確か隣のクラスの人だっただろうか。
どこか急いでいる様子で、息をきらせながら鬼龍院くんの前で立ち止まる。
「廊下は走るな。危険だぞ」
「あー、今回は急ぎだから許してくれ! それでさ、先週の会議あっただろ? あれのことで今ちょっと揉めててさ……」
疲れたように、その男の子はうなだれる。
「俺と会長だけじゃ対処しきれなくて……帰るとこ悪いんだが、お前も来てもらっていいか?」
「それは……仕方ない、か。分かったすぐに行く」
「ありがとう、助かるよ鬼龍院!」
なんだか、生徒会も大変そうだな……。