【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「ずっと、ずっと入ってみたいって思ってた……今日こそは!!」
なんて意気込みながら列に並ぶ。
「ねぇ、あの人かっこよくない?」
「でもほら、横の女の子彼女でしょ? いいなぁ、あんなカッコいい彼氏」
どこからか、そんな会話が私の耳に入ってきた。
あの女の子たち彼方のこと見ながら話してる……本当に、彼方はどこにいてもモテモテだな……って、それもだけど!
か、彼女って……私のこと、だよね。
周りから見たら、私たちってちゃんと恋人同士に見えるんだ……。
「はーい、次の迷い人様いらっしゃーい!」
血で汚れたかのような赤いシミをつけた、これまたファンシーな服を着ている係りのお姉さんの声が私たちに向けられる。
私たちに番が、まわってきたのだ。
「怖かったら、俺にしがみついてても良いから……むしろ、そっちの方が俺は嬉しいし」
私を安心させるように、彼方が優しく頭を撫でてくれる。
「おっとー!? これはラブラブなカップルさんですねー!?」
「はへ!?」
お姉さんのラブラブカップル発言に、思わず変な声を出してしまった。
「周りから見れば、俺たち恋人同士に見えるんだね」
「み……みたいだね」
さっきも、か、彼女って、私のことを言ってたんだと思うし……
あああ、なんだかまた変に意識してきちゃった……。