【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……俺は、そう見られて嬉しいけど」
「へ?」
ボソッと呟いた彼方の言葉に、自分の顔が熱くなるのが分かる。
そう、見られて嬉しいって……う、うぅぅ。
「では、ラブラブカップルのお二人さん、と~っても危険なお菓子の城へ、ごあんな~い!」
「行こう、柚月」
「……うんっ」
真っ赤になっているであろう顔をうつむかせながら、私は彼方と共に足を踏み入れたのだった……。
『お菓子の城の呪い』
ヘンゼルとグレーテルを題材に作られた、ファンシーで不思議な空間が続くお化け屋敷だ。
可愛らしいお菓子を型どられた装飾品と、それとはうって変わってドロドロとした不気味なお城の入り口がそびえ立つ。
この門をくぐった先がこのお化け屋敷の本番だ。
「う……っ」
可愛らしい雰囲気は一転、森の中のような暗い道が続き、魔女と思われる甲高い笑い声が響き渡る。
あううぅ、怖いぃ……!
『オオオォォオォオ……』
「ひ!? な、なんか聞こえるっ」
「腕、しがみついてもいいよ?」
「え、うっ……そ、それは」