【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
▽ 「大丈夫……ゆっくりで、いいから」
「ここの横にあるホテル……そうだ、あの一番大きなやつだ。あれはうちが経営しているホテルの一つで、実は今度オトギランドと合同企画がなにかできないかと父が悩んでいてな」
さらりと『あれはうちが経営しているホテルの一つ』と言ってのけるあたり、やはり鬼龍院くんは住む世界が違うなと実感する。
「そこで学生目線でなにかいいアイデアがないかと聞かれ、今日はオトギランドの見学に来たわけだ!」
「家のお仕事のためだったんだ……なんだか同じ高校生とは思えないや」
「いやいや近衛クン、僕なんてまだまだだ。鬼龍院財閥の跡取りとしてもっと頑張らなければ! そして企業としても日本一……いや世界一をこの手に!!」
あー……うん、えーっと……鬼龍院くん、力説しているところ本当に申し訳ないんだけれども……
「か、彼方~……?」
「ん……なに柚月?」
彼方さん、めちゃくちゃ不機嫌でいらっしゃる。