【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「なんだね一色クン! こうなってしまったんだから仕方ないだろう! いつまでもむくれてないで、遊園地を楽しもうじゃないか!」

「あんたがそれ言う……?」

「あ、あー! あのアトラクション面白そうだよー!」


ぜ、前途多難だなぁ。


「ねぇねぇ、あの二人凄くカッコいいんだけど!?」

「うわぁ、本当にカッコいい……」


なんだか、さっき彼方と並んでた時と同じような会話がいくつも周りから聞こえてくる。


そりゃそうだ。彼方もだが、鬼龍院くんは彼方とは別の意味でとてもカッコいい。

身長も高く足も長くて品もあり、まるで高級ブランドのモデルさんのような感じだ。

大人の雰囲気というか、本当に私と同じ高校生とは思えない。


……なんて、この時は思っていたのだけれど。


「見てくれ近衛クン! あそこに可愛らしい集団が!」

「あれはオトギランドのマスコットキャラクターたちだね。あんなふうに、園内を回ってるらしいよ」

「ほぉー!」


私が簡単な説明をすると、鬼龍院くんはキラキラと目を輝かせた。

先ほどの大人っぽい雰囲気はどこにもなく、そこにいるのは紛れもない高校生の鬼龍院くんだ。


「こ、こっちに来たぞ近衛クン! どうしよう!!」

「鬼龍院くん落ち着いて、落ち着いて!」


マスコットキャラクターの一人、オトギ姫ちゃんが鬼龍院くんの目の前まできて両手を広げる。

たぶん、ギューしようの合図なんだろうけど……



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