【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「うっ、ぁ……こ、こんな外で抱き締め合うなんてそんなっ」
「まあまあ鬼龍院くん、オトギ姫ちゃんも両手広げて待ってることだし!」
「う、うむ……それもそう、だな」
えいっと思いきって抱きついた鬼龍院くん。
そしてオトギ姫ちゃんと体を離した時、例えるなら「はわわーっ!」的な顔になっていた。
小学生の女の子のような感じだった。正直可愛かった。
「よかったら写真を撮ってもらってもいいだろうか!? いいのか!? よ、よしっ」
カメラを取り出し、鬼龍院くんは私と、さっきからずっと無言のままの彼方に視線を向けた。
「よかったら一緒に撮らないか!? その、近衛クンと……一色クンも」
「……いいよ別に、俺がシャッター押すから……どうせ柚月と撮りたいんでしょ? 写真ぐらいで目くじらたてたりしないから」
「だからカメラ貸して」と彼方は鬼龍院くんに手を差し出した。