【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「右だな!」
「左」
「いやここは右だろう?」
「……左」
……さて、途中までは順調に進んでいたのだが、今現在、二人は物凄く睨みあっていた。
目の前にあるのは帽子屋さんが出したナゾナゾと二つの扉だ。
正解の扉はどちらか一つだけ。
そしてナゾナゾを解いていた彼方と鬼龍院くんの意見が、見事に別れてしまっていたのだった。
「右だ!」
「左」
右と言っているのは鬼龍院くんで、左と言っているのは彼方だ。
二人とも譲る気はないらしく、断固としてその意思を曲げない。
「なあ近衛クン、君は右だと思うだろう!? この僕が言っているんだ間違いない!!」
「っわ!?」
腕をつかまれて、そのまま鬼龍院くんに右の扉に連れていかれる私。
「ま、待って鬼龍院くん! ちゃんと彼方と話し合ってから」
「話し合った結果、右だということが分かった!」
「まだ話し合ってた途中だと思うけど!?」
右の扉を開け、中に入ろうとした所で鬼龍院くんはピタリと動きを止める。
今度はどうしたんだろう……?