【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
嫌な汗が頬をつたう。
頭の中がめちゃくちゃになって、訳がわからなくなる。
あれ、えーっと……んーっと……
『振りほどく』って、どうするんだっけ?
「っぁ、か、彼方は……!」
──ハッと我に返り後ろを振り向く。
私たちが通った扉はもう閉まっており、そこに彼方の姿はない。
もう左の道を行ってしまったのだろうか。
「あの、鬼龍院くん、彼方来てないよ? 今からでも遅くないから戻ろう?」
「左の扉は間違いなのだから、戻る意味がないだろう?」
「でもっ」