【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「ということでだ。僕はもう戻らなければいけないんだが……それにしても今日は、本当に楽しいひとときだった。ありがとう二人とも」
なんて、鬼龍院くんは笑顔を浮かべた。
「たが、その……すまなかったな一色クン……邪魔をしてしまって」
「………………はぁ」
鬼龍院くんの言葉に、ちょっとだけため息をつく彼方。
やっぱりまだ不機嫌なままだったのかと思い、私と鬼龍院くんに嫌な汗が流れる。
「す、すまない一色クン、たまたまとはいえさすがに出過ぎたマネをっ」
「か、彼方っ」
「……二人して、なに人の顔色伺ってるの。別に怒ってないよ。……ただ、今さら謝ってくる鬼龍院に呆れただけ」
「一色クン、怒ってないのか?」
「……最低限楽しかったから……許してあげる」
少し意地をはった言い方をして、彼方はふっとやわらかく微笑んだ。