【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……柚月?」
「え? あ、ごめんっ」
反射的に謝ってしまい、差し出された彼方の手をとる。
「やっぱり、柚月どうかした? 大丈夫?」
「う、うん大丈夫大丈夫! たぶんちょっと疲れちゃっただけだと思う!」
たくさん遊んだし、走ったし叫んだし、きっと疲れてるだけだよと自分に言い聞かせる。
彼方はじっと私を見つめていたが「なら……早く帰って休もう」と言って、私の手を握り返した。
「……ねぇ、柚月」
「なに?」
「今日は、嬉しかった……柚月が、俺にドキドキしてくれて」
「へ!?」
鬼龍院くんのことですっかり頭から抜けていたが、そんなこと言っちゃってたな私!