【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……え?」
『拒絶しないんだね』
どくりと嫌な感じに脈打つこの感じ。前にもあったこの感じ。
「ハッキリと、近衛クンは僕を拒絶しないね。それは優しさか、それとも別のなにかか……」
一歩、また一歩と私に近付いてくる。
なんだかちょっと怖くて、私は思わず後ずさった。
「僕がつけいる隙があるなら、このまま近衛クンの心を一色クンから奪ってしまおうか」
「っ!?」
グッと鬼龍院くんとの距離が近くなり、私の頭の中が真っ白になる。
優しく壊れ物を扱うみたいに私の頬に触れ、怪しく、色っぽく鬼龍院くんは微笑んだ。
「き、鬼龍院、くっ」
「…………うっ」
「…………う?」
突如、なにやら奇妙なうめき声が聞こえてきて、うめき声をあげたと思われる鬼龍院くんの顔を覗きこんでみる。
するとバッと私から顔を離し、その場に頭を抱えてしゃがみこんだ。