【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「……~うううっ、こ、近衛クンの顔をあんな至近距離でなんて堪えられるわけがないだろう! なんだあの可愛さは無理しんどい好きぃ……じゃなくて! ああもう、ちょっとカッコいい雰囲気出てたのに僕のバカ!」


なにかぶつぶつと言っていたが、最後の『僕のバカ!』しか聞き取れなかった。

でもその雰囲気がいつもの鬼龍院くんで、ホッとする。


いきなり鬼龍院くんの様子が変わったから、本当にビックリした……。


「……ふぅ、ではそろそろ僕も行かなければな」


なんとか落ち着いた様子で、鬼龍院くんは態勢を立て直す。

私も、彼方が教室で待ってるかもしれないから行かないと。


「じゃあ、私も行くね」

「ああ、ではまた……っと、近衛くん」

「なに?」


鬼龍院くんの横を通り過ぎると、引き留められるように名前を呼ばれる。

振り返ると、鬼龍院くんは優しい表情で私を見つめていた。


「なにか悩み事や、不安なことがあったらぜひ僕に相談してくれ……今の一色クンでは、君の力にはなり得ないからね」

「え……?」


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