【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
私を見た瞬間とても驚いたか顔になり、わたわたと「あ、えっと、そのっ」とどこか慌てた様子だ。
彼女は月城 セレナ(ツキシロ)ちゃん。
綺麗なふわふわと巻かれている黒髪に、可愛らしいリボンのカチューシャがよく似合う、まるでお人形さんみたいな女の子だ。
セレナちゃんは見た目の通りのお嬢様で、お父さんはファッションデザイナー、お母さんはファッションモデルをしていて、世界的に活躍しているのだとか。
鬼龍院くんと張り合えるレベルのお金持ちと、噂で聞いたことがある。
そんな彼女とは今は隣のクラスなのだけれど、一年生の頃は同じクラスで……そういえば一年生の最初の頃、セレナちゃんのハンカチを拾ってそれがキッカケで話すようになったんだっけ。
そうだ、このハンカチどっかで見たことあると思ったらセレナちゃんのだ!
「はいこれ、落ちてたよ」
「え、ぁ……っわたしの、ハンカチ」
ハンカチを差し出すと、そっと大事そうにセレナちゃんはハンカチを受け取った。
「ゆ、柚月さん、わたしのハンカチのこと……覚えててくれたの?」
「え? うん、覚えてるよ」