【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
大声で名前を呼ばれ、私の体がビクリと跳ねる。
同時にバッとセレナちゃんは顔をあげ、なにかを決心したように両手でギュッと拳をつくった。
そして──……
「柚月さん、ワタシあなたに伝えたいことが……!」
「──柚月」
セレナちゃんの言葉は、私の名前を呼ぶ声に遮られた。
「あ、彼方!」
見ると、彼方が二人分のカバンを持って私の方に歩いてきていた。
「帰ってこないから、心配した……カバンも持ってきたから、早く帰ろ」
「あわわ、ごめん彼方!」
やっぱり彼方は教室で待っていてくれたのか、私の帰りが遅いのでわざわざカバンを持ってきて探しに来てくれたらしい。
彼方からカバンを受け取り、改めてセレナちゃんに向き合った。
「っと、セレナちゃんさっきはなにを言いかけて……」
だがセレナちゃんの視線は私を向いておらず、見たこともない恐い顔で彼方のことを睨み付けて……へ?