【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「セ、セレナちゃん?」
「えっ!? あ、ど、どうしたの柚月さん?」
気付くとセレナちゃんの表情はいつもの明るい笑顔に戻っていた。
あれ? なんだかセレナちゃんが凄く恐い顔で彼方のこと見てたような……気のせいだったのかな?
「セレナちゃん、さっき言いかけてたことって……」
「……また、今度でいいわ」
「でも……」
「わたしが今度と言っているのだから今度でいいの! ……っ、今日のところはこれで失礼するわ!!」
「あ、セレナちゃっ」
ピャーッと、素早い動作で廊下の先へと消えていくセレナちゃん。
「……柚月」
「ひゃい!?」
耳元で突然囁かれて、ゾワリとした感覚が身体中に走る。
見ると彼方が少しふてくされた顔で、私の手をギュッと握り締めていた。