【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「セ、セレナちゃん?」

「えっ!? あ、ど、どうしたの柚月さん?」


気付くとセレナちゃんの表情はいつもの明るい笑顔に戻っていた。

あれ? なんだかセレナちゃんが凄く恐い顔で彼方のこと見てたような……気のせいだったのかな?


「セレナちゃん、さっき言いかけてたことって……」

「……また、今度でいいわ」

「でも……」

「わたしが今度と言っているのだから今度でいいの! ……っ、今日のところはこれで失礼するわ!!」

「あ、セレナちゃっ」


ピャーッと、素早い動作で廊下の先へと消えていくセレナちゃん。


「……柚月」

「ひゃい!?」


耳元で突然囁かれて、ゾワリとした感覚が身体中に走る。

見ると彼方が少しふてくされた顔で、私の手をギュッと握り締めていた。


< 196 / 416 >

この作品をシェア

pagetop