【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「あ、あの、彼方さん?」
「早く帰ろ……それと、あんまり俺のことほったらかさないで……柚月がいないと、寂しい……からっ」
少し顔を赤くして、瞳を潤ませて私を上目遣いで見つめる。
か、可愛い……。
「あ、また柚月に甘えちゃっ……ちが、違うくはないけど……柚月にお世話してほしいとかじゃなくて、ただ一緒にいないと寂しいと、言うか」
「うん……今日は、待たせてごめんね。寂しい想いさせてごめん」
「……ううん、俺のわがままだから。気にしないで」
そして彼方は、少し伏せていた顔をあげた。
「じゃあ、帰ろっか」
隣にいることを確認するように、ギュッと、彼方は繋いでいる手に力を入れたのだった。
それにしても、セレナちゃんいったいなにを言いかけてたんだろう……今度会ったら、ゆっくり聞いてみよう。