【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……あ、えっと」
「柚月……どうかした?」
息がつまるような感覚。
それに気付いた彼方が、心配そうに私の顔を覗きこむ。
私が彼方に心配をかけてどうする。
もっと、もっと頼ってもらいたい。幼馴染みなんて関係はもうどうだっていい。
私の居場所は、昔から彼方の隣しかないんだから。
だからもっと必要とされないと。もっと求められないと。
いらないと、言われないように。
「大丈夫、なんでもないから!」
いつも通りの笑顔で、私は彼方に、そう返事を返した。