【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
鬼龍院くんと共に彼方に視線を向ける。
執事服を着た彼方はいつもより大人っぽくて、先ほどからクラスのみんなに囲まれていた。
その騒ぎをききつけて、別のクラスの子たちまで見に来ているようだ。
……彼方、カッコいいなぁ。
「……あ、そういえば当日の更衣室の貸し出し許可って、まだ出してなかったよね」
「ああ、いったん服を試着してみてからどうするか決める予定だったが……この様子だと、問題はなさそうだな」
「じゃあ私、真壁先生にそのこと伝えてくるね!」
そうと決まればと、教室を出ていこうと扉に手をかける。
だが鬼龍院くんが、「近衛クンちょっと待ってくれ」と私を止めた。
「それなら後で僕が言っておこう。近衛クンは最近、なにかと働きすぎだからな。少しは休むべきだ」
働きすぎだと言われて、確かに最近は特に忙しいなとふと思う。
だけど、文化祭はもうすぐなんだから疲れたなんて言ってられない。
「鬼龍院くんこそ生徒会忙しいんでしょ? こっちのことは私に任せてよ! じゃあ行ってきます!」
「近衛クン……」