【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
まだなにか言いたそうな鬼龍院くんに見送られ、私は教室を出た。
もっと、頑張らないと。
彼方の負担にならないように、彼方に頼ってもらえるように、私が頑張らないと。
「あ、あら! 誰かと思えば柚月さんじゃない!」
教室出て少し歩いたところで、突然後ろから声をかけられた。
この声は……
「セレナちゃん!」
「こ、ここで会うなんて奇遇ね! 今からどこかご用事?」
「うん、職員室にちょっとね」
「そう、職員室……それにしても柚月さん、最近なんだか急がしそうね?」
「私、文化祭実行委員だから。今から職員室に行くのもその用事でね。セレナちゃんは?」
「え、わたしは、その……ちょ、ちょっと気分転換に散歩を……いえ、やっぱりこんなふうに誤魔化すのはいけないわね。実は柚月さんの姿が見えたから、こうしてちょっと抜け出してきたの」
私の姿を見てこうして追いかけてきてくれた、ということだろうか?
そういえば、この前セレナちゃんは私になにか言いかけて、結局はまた今度でいいからって最後まで聞けなかったんだっけ。