【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「ゆゆゆ、柚月さん!?」
「うん、そうだね。セレナちゃんの言うとおり、感謝されたらちゃんと受け取らなきゃ、だよね!」
セレナちゃんの言うとおりだ。感謝の気持ちは、ちゃんと受け止めなければ。
「さすがは柚月さん、理解がはやいわね! ……あの愚か者とは大違い」
ふんとセレナちゃんは鼻をならす。
そしてチラリと、私がつい握ってしまった両手に視線を向けた。
「っと、ごめんセレナちゃん! 勢いあまって手握っちゃって」
「ぁ……っ」
手を離すと、セレナちゃんの表情がどことなく寂しそうな顔になる。
「セレナちゃん、どうかしたの?」
「……も、もっと握っててもらってても」
「え?」
「い、いえ、なんでもないわ! 本当になんでもないのよ!? あぁもう、いつもの調子がでない……ファイトよわたし!」
後ろを向いて、なにか気合いを入れているセレナちゃん。
だけど……
「月城? こんなところでなにしてるんだ?」
セレナちゃんの名前が呼ばれそっちに視線を向けると、隣のクラス……セレナちゃんのクラスの担任の野沢先生がそこにはいた。