【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



わけが分からないまま、鬼龍院くんは言葉を続けた。


「一色クン、君は近衛クンの異変に気付いていたはずだ。一番近くで近衛クンを見たいたのは君なんだからね」


異変? 私に?


「なのに、近衛クンが大丈夫だと言えば、君はあっさりと近衛クンに手を差し伸べることを止めた……いつもいつもいつも、大丈夫でないと気付いていたくせに!!」

「鬼龍院くん……なにを言ってるの? 私は、そんな」

「ゆ、柚月っ」


私がかなり動揺していることに気付いたのか、すぐに彼方が駆け寄ってきて私の手を握ってくれる。

温かいと思うと同時に、この温もりが消えてしまったら……そう考えてしまう。


そういえば彼方、セレナちゃんとのお話はもう終わったのかな。

なに、話してたんだろう。


でも、例えセレナちゃんが彼方に告白したとしても選ぶのは彼方だし、私が口出しすることじゃ……


「そうやって手を握って、近衛クンが大丈夫だと言えばまた手放すのか? そんなことなら初めから手なんて差し伸べるな」

「……っ」


顔をふせ、押し黙ってしまう彼方。


「彼方っ」

「近衛クン……僕の傍にいたい時はいつでも声をかけてくれ。いつでも、待ってるから」

「……わ、私は」


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