【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
……朝、家を出ると彼方が待っていた。
「家の中で待ってればよかったのに! どうしたの、こんなところで?」
「……うん、別に……じゃ、行こっか」
「うん、文化祭まであと四日、頑張らないとね!」
「……そう、だね」
彼方には明らかに元気がなかった。
いろいろと話題を振ってみるも、私が彼方を笑顔にすることはできなくて……まるで、昔に戻ったみたいだ。
誰とも話したくないと言って、みんなを突き放した頃の彼方。
じゃあまた、私が彼方の傍にいてあげればいい。
それできっと元通りになるはずだ。
でも、彼方が私と一緒にいたくないと言ったら?
彼方がもし他の人を選んでしまったら?
例えばその、セレナちゃん……とか。
結局、セレナちゃんと二人きりでなにを話してたかも聞けてないままだし……。
「……大丈夫」
不安で揺れ動く心を無理矢理押さえつけるように、
「大丈夫、だから」
誰にも聞こえないように、私はそう、自分に言い聞かせた。