【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「? セレナちゃん?」
「柚月さん、もしかしてどこか体調がすぐれないとか……」
「え?」
「あ、気のせいだったら別にいいのよ。なんだかその……無理して笑っているように見えたものだから」
「そ、そんなことないよ! すっごく元気だよ私!!」
「……それならいいのだけれど」
……セレナちゃんの顔を見て思い出したのは、彼方とセレナちゃんが二人きりで話していたことだ。
セレナちゃんはきっと彼方のことが好きで、そのことに動揺してしまっている私がいる。
それが顔に出ちゃったのかな……セレナちゃんにも、心配かけないようにしないと。
「そこでなにをしているんだ月城クン?」
「うわ、どこにでも出てくるわねあなた……いい加減にしてほしいわまったく」
「いい加減にしてほしいのはこっちのセリフだ。それで君はなにをしているんだ? また邪魔しにきたのか?」
呆れたように鬼龍院くんがセレナちゃんを見下ろす。
その言葉にセレナちゃんはどうやらカチンときたようで、思い切り鬼龍院くんを睨み付けた。
相変わらず、この二人の迫力は凄いな……。
「わたしのクラスの準備はもう終わったの。だから手伝いに来てあげたのよ感謝しなさい! ちなみに先生の許可もとってありますから!」
「ほお、それはいい。こっちは人手が足りなくて困っていたんだ。とりあえずこれでテーブルを拭いてまわってくれ」
有無も言わさず、鬼龍院くんはセレナちゃんにフキンを渡した。
あああ、セレナちゃんの顔がどんどん恐くなっていく……。