【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
……私は、そんな顔をしていたのかと、言われてはじめて気が付く。
「……一人じゃないからこそ、出来損ないの人はより目立ってしまうから」
「近衛クン?」
「周りがみんな良い人たちだから……みんな凄くて優しいから……でも、凄いねなんて素直に言えるほど私って強くないんだ」
弱くて惨めで、ほんと昔となにひとつ変わりはしない。
彼方は頑張って、あんなに変わったのに。
私だけが取り残される。
「あれ、そういえば彼方は?」
気付くと彼方の姿は見えなくて、私は彼方の姿を見失ってしまうほど今まで作業に熱中していたのかとビックリする。
頑張ることしか考えてなくて、それで彼方から離れてしまってはなんの意味もない!
「……どんな時も、君が探すのは一色クンなんだね」
「? 鬼龍院くんなにか言った??」
「いや……一色クンなら、紙皿と紙コップが足りないかもしれないと言うことで、追加分があるかどうか用務室に見に行くと言っていたよ」
「用務室……彼方、私に黙ってそんな、一人で」