【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
文化祭の準備もほぼ終わり、あとはもう明日……本番を迎えるだけとなっていた。
「では皆さん、明日はどうぞ宜しくお願いいたします。お気を付けて帰って下さいね」
にこやかな笑顔で、真壁先生が終わりの合図を出す。
私の文化祭実行委員としての仕事も、何事もなければあとは片付けだけか……。
「ごきげんよう柚月さん! 途中までご一緒にいかがかしら?」
「セレナちゃん! うん、途中まで一緒に帰ろう!」
終わってすぐセレナちゃんが教室に来るのは、今回がはじめてではない。
文化祭の準備で放課後に残った日は別として、それ以外はセレナちゃんから途中まで一緒に帰ろうとのお誘いが二、三度あった。
「では今日は僕も一緒にいいかな?」
鬼龍院くんがカバンを持って、私とセレナちゃんの間に立つ。
「あら、鬼龍院財閥の豪邸は逆方向ではなくて?」
「それなら月城クン、君は毎日送り迎えは車のはずだが?」
「今日は来ないように言っていますから……ってそれよりも、あなたはどうするのかしら?」
チラリと、セレナちゃんは彼方に視線を向けた。