【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「でもっ」
顔をあげて、彼方は真っ直ぐと私を見つめる。
「怖いけどでも、俺は柚月にもう一度笑ってほしいから」
「私なら笑えるよちゃんと! ほら!」
「そんな嘘の笑顔、しちゃダメだよ」
「……っ、ぁ」
「柚月」
そんな優しい表情で、私のことを見ないでよ。
「柚月がちゃんと心から大丈夫って言えるように……本当に、俺にできることってないかな?」
「そんなの、ないよ……ない、から」
「試しになにか頼ってみてよ。もしかしたら、俺になにか、できることがあるかもしれないし」
「彼方、もういいから!」
「それでやっぱり、俺はどうしようもない頼れないやつだって思われてもそれでも構わないから」
「だからいいってば。彼方はなにもしなくていいから……だからもうなにも言わないで、お願いだからっ」
「柚月が俺のために一緒にいてくれたように、俺も柚月が辛いなら傍にいたいし、力になりたいんだ」
「なんで……なんで彼方はそんなに優しいの!? なんでそんなに、彼方は……私のためにっ」
そんな簡単な質問、今さらしないでよとでも言うように、彼方は迷いなく答えたのだ。