【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「そんなことない」
凛と透き通った声が、真っ直ぐ私に投げ掛けられる。
「好きになってもらう資格がないとか、そんなことないよ柚月」
「彼方は優しいね。私は私のために彼方の傍にいるだけなのに、彼方はこんなにも私のことを思ってくれてる。それが辛かった」
涙がぼろぼろ溢れていて、視界がぼやけて、彼方が今どんな表情をしているのか全く分からない。
「彼方の優しさに押し潰されそうで、好きだって言われるたび、違う、本当の私は最低なやつなんだよって……言いたかった」
制服のスカートを、シワになることも気にせずギュッと握る。
「今さら、こんなこと言われても困るよね。でもこれが本当の私だからっ」
顔を少し伏せると、大粒の涙が床に落ちた。
同時に私は、
彼方に優しく抱き締められた。