【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「柚月、一緒帰ろう」
「あ、うん! もち……ろん」
いつもは私から声をかけるのに……また、彼方の方から私を誘ってくる。
私はぎこちなく返事を返し、彼方と共に歩く。
ダメだ、意識するなと言う方が無理だ。
「柚月」
「え? あ、な、なに? どうかした?」
「ちょっとだけ、手、借りるね」
そう言ってぎゅっと、彼方は私の手を握った。
握っ……た!?
「彼方っ!?」
「……柚月と一緒に帰れて、凄く嬉しい」
「い、いつも一緒に帰ってるよ? というかあの、手っ」
「ん……だから、いつも嬉しい……だって」
「柚月のこと、大好きだから」なんて、少し照れたように彼方が言うもんだから……