【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「柚月のお母さんはいつ頃戻るの?」
晩ご飯もすませ、居間のソファーに座って彼方と一緒にテレビを見る。
なんだか落ち着かなくて、テレビの内容があんまり頭に入ってこない。
「えっと、お母さんに電話したら繋がったんだけど、やっぱりいつ帰れるかは分からないって。彼方の家にいるってことだけは伝えてあるんだけど……」
「……いっそ、うちに泊まっていけばいいのに」
「へ!?」
「まあ、着替えとかないし、無理か……残念」
「もっと柚月と一緒にいたいな」と私の顔を覗きながら言う彼方に、ドキリと心臓が跳ねる。
「……私、も」
そんな彼方の服の袖を、キュッとつかんだ。
「私、も……彼方と一緒に、いたい」
「……柚月」
やっと彼方に本当のことが言えたのはいいけれど、やっぱりまだどこか不安が残っていた。
私の本心を言っても、それでも一緒にいてくれる彼方は本当は私の夢なんじゃないかなんて……そんなくだらないことも考えてしまう。
確かに彼方はここにいる。
そう感じていたくて、私は今凄く、彼方の傍から離れたくはなかったのだ。