【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「柚月ちゃん、実はねぇ?」


居間に顔を見せた彼方のお母さんは、ちょっと大きめのカバンを持っていた。


あのカバン、なんだか見覚えが……って、あれって私の旅行カバン!?

なんで彼方のお母さんが……


「今、柚月ちゃんのお母さんが来たんだけどね?」

「やっぱりお母さんだったんですね!」

「そうなの。でもまだ仕事が終わってないらしくて、もしかしたら朝方までかかるかもって……すぐ仕事に戻っていっちゃったの」

「えっ、そんなに!?」


朝方までかかるなんて……でもお母さん、わざわざそんなことを言いに来たの?

電話でもいいような気が……


「でね、さすがに柚月ちゃん一人で朝まで家に居させるのは心配だからって、とりあえずこのカバンを預かったわ。これを持ってくるために、一度ここに来たみたいね」


彼方のお母さんからカバンが手渡される。

中を開けてみると、そこには私の下着やらなんやら……お泊まりセット一式が詰め込まれていた。


「今日は一色さん家に泊めてもらいなさい、ですって。私とお父さんは大歓迎だから、ゆっくりしていってね柚月ちゃん!」

「……へ??」


私のお母さんはどうやら、いったん家に戻って私のお泊まりセットを用意して、彼方のお母さんに手渡したらしい。


一色さん家に、泊めてもらいなさいって……


えええええええええっ!?


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