【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……でも、これを着るしか……ない、よね」
カバンの中に入っているのはこれ一着。
着るという選択肢しかなかったため、私はその猫耳でモコモコでふわっふわなパジャマに袖を通したのだった。
「あ、あの、お風呂ありがとうございました」
お風呂を上がり、彼方のお母さんの所に行ってお礼の言葉を言う。
そしてそんな私を見て、彼方のお母さんはキラキラとその瞳を輝かせた。
「あら、あらあらあら柚月ちゃん! 可愛いパジャマね!」
「アハハ……ソ、ソウデス、カネ?」
恥ずかしいっ!!
「柚月、お風呂上がった? こっち布団の用意だけしとい、た……から……」
ひょっこりと顔を出した彼方が、私の姿を見た瞬間に硬直する。
あわわわわ……穴があったら入りたい。
「そうそう柚月ちゃん、うちの客間って和室なんだけど、寝る場所はそこにお布団で大丈夫かしら?」
「は、はい、なにからなにまで本当にありがとうございます! 大丈夫です!」
「それなら良かったわ。じゃあ、あとは自分の好きなようにくつろいでもらって構わないから、なにかあったら呼んでね」
そのまま彼方のお母さんは、まだビールを飲んでいる彼方のお父さんのところに行ってしまう。
必然的に、彼方と二人きりになってしまった。