【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「お、もしかしてうちに興味ある感じ? ぜひ作っていきなよ~! 思ってるほど難しくないからさ!」
「手取り足取り、教えてくれる人がいるから安全に作れるし、思い出にもなりますよ~!」
サンプルを見ていると、ある男の子と女の子が私に話しかけてきた。
背中と胸の前に『キャンドル・アクセサリー製作体験!』と書かれたボードを背負っているから、きっと客引きの人たちなのだろう。
だがふと、私の顔を見た途端に二人の顔付きがガラリと変わった。
ん?
「あ、あの?」
「もしかしなくても近衛さん!? えっ、まじ!?」
「もしかしなくても近衛さんだよ! どうしよう、月城さんってまだいたっけ!?」
「ち、ちょっと待ってろ今確認してくる!!」
バタバタと慌ただしく、教室の中に男の子が入っていく。
すぐにその男の子は扉から顔を出し、「いるいる! オッケー!」と女の子にサインを送った。
い、いったいどうしたんだろう?
月城さんって言ってたから、セレナちゃんがどうかしたのかな?