【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
ふと頭をよぎった言葉に、自分自身が困惑する。
私は……彼方の隣に、いたいわけじゃないの?
「柚月さん?」
「わた、し……っ」
いや、彼方の隣にはもちろんいたいと思っている。だけどなにかが違う。
今までとは、なにかが……
そうだ、彼方に本心を言ったとき、私はなにか自分でも不思議に思うことを願ったはずだ。
なんでこんなことを願っているんだろうと、私は思ったはずだ。
確か、確か……
〝もう私の居場所なんていらないから、認めてくれなんて贅沢言わないから、どうか、嫌いにだけはならないで〟
「……私、もう、彼方の傍にいるだけじゃダメなんだ」
私はもう、彼方に居場所なんて求めてないんだ。
居場所や隣じゃなくて、
もっと欲張りに、わがままに、
居場所なんていらないから、彼方の気持ちの全てが欲しいと、そう思ってるんだ。