【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。

▽「かけがえのないものだから」




「え、え~っと……」


理解が追いつかなくて、とりあえず落ち着いてセレナちゃんの言動を思い返してみる。

確かに、どれだけ思い返してみても、セレナちゃんは一度も彼方のことを好きだとは言っていない。


じゃあ、私の勘違い!?


「でもなんでセレナちゃんは私と彼方を引き離そうとしたの? 彼方のことが好きで、だから彼方の隣にいる私のことは邪魔だと思って引き離そうとしたんじゃないの?」

「むしろその逆よ!」

「ぎ、逆?」

「ええ、わたしが本当に邪魔だと思ったのは一色彼方の方よ」

「彼方の方が邪魔?」


ど、どういうこと??


その時だ。

「近衛クンと月城クンじゃないか!」という声が、私の背後から聞こえてきた。


振り返るとそこには鬼龍院くんと、そしてまだ執事服を着たままの彼方がいた。

彼方は片手にたい焼きのマークが描いてある袋を持ち、二人ともこちらに向かってきている。


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