【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「わたしが二人を引き離そうとしたのは、一色彼方のことが許せなかったからよ」


腕と足を組み、キッと彼方のことを睨み付ける。


「彼方のことが許せなかったって、どうして……」

「……見ちゃったのよ。柚月さんが、泣いてるところ」

「わ、私?」

「放課後の廊下で、柚月さんと一色彼方が一緒にいて……そしたら柚月さんが涙を流してて」


まだ必死に彼方の役に立とうとしてた時、自分にはなにもないと思い込んでて……彼方の前で、少し涙が出ちゃったんだっけ。

それを、セレナちゃんは見ていた。


「一色彼方はあなたの一番近くにいる存在。なのに涙を流す柚月さんをただ見ているだけで、なにもできずに立ち尽くす彼を見て……彼に、柚月さんは任せられないと思ったわ」

「それは僕も同じ事を思っていたよ。なかなか見る目があるじゃないか月城クン!」

「あなたはちょっと黙ってなさい!」


鬼龍院くんの口にタイ焼きを突っ込んで、セレナちゃんは話を続けた。


「だから二人を引き離そうとしたの。一色彼方に直接、柚月さんにはもう近付かないでと言ったことだってあるわ」


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