【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
直接、彼方に……?
「それってまさか、放課後に二人で話してたあの……!?」
「ああ、あの時か! 君たちそんな話をしていたのか……」
「えっ、柚月も鬼龍院も、見てたの?」
私と鬼龍院くんに続いて、彼方も驚いたような表情をする。
「話までは聞こえなくて、てっきりセレナちゃんが彼方に告白してるのかと」
「まあ僕として内容はともかくとして、あの時、辛そうな近衛クンを一人きりにしていたのは事実だがな」
ちらりと、たい焼きを食べながら鬼龍院くんは彼方を見る。
「……それは、本当にごめん。柚月を一人にしちゃって」
しゅんとしてしまう彼方。
そんな彼方を見て、セレナちゃんが焦ったようにフォローをいれた。
「こ、これに関しては、わたしもほんのちょっとは悪いの。話を誰にも聞かれたくなくて、一色彼方を教室から連れ出したのはわたしなんだし」
「いや、でも待ってくれ」
たい焼きを食べ終わった鬼龍院くんが、顎に手を当ててなにか考えるポーズを見せる。
「結局、月城クンが二人を引き離すメリットはなんだ? 近衛クンのために一色クンを引き離そうとした……それは君になんの利益がある?」