【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「……柚月」
私の名前を呼んで、そっと彼方は私を後ろから抱き締める。
耳元に唇が寄せられ、彼方の吐息が当たってくすぐったい。
「柚月、あったかい」
「彼方、寒いの? 大丈夫?」
「うん、大丈夫」
スリスリと私にすり寄り、そのままの態勢で彼方は私に話しかけた。
「それで、さ……俺に言わなきゃいけないことって、なに?」
「え、えっとそれは……」
あ、まずいぞ、
凄く緊張してきた。
「ちょっと待ってね。と、とりあえず落ち着くから」
「……緊張、してるの?」
「う、うんっ」
どうしよう、心臓のバクバクおさまんない。
でも、ちゃんとこの気持ちを伝えなきゃ。
彼方に、伝えなきゃ。