【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



『……──先生、私、月城さんのためになんとかしてあげたいんです!』


最初、一人の女子生徒が俺にそんなことを言ってきた。


そしてその時、二年生のクラスを受け持ち担任になった俺は、とある悩みを抱えていた。



月城 セレナ



彼女はいわゆるお嬢様というやつで、高飛車で上から目線、どこか他と違う雰囲気をまとっており、同年代の子からすれば近寄りがたい存在だったのだろう。


一年生の頃から浮いていて誰も近寄らず、それは二年生に上がっても変わらなかった。


どうにかクラスに馴染めさせてやりたいと思っていた、そんな時だ。


『月城さん、近衛さんと前みたいに話したいらしくて……ほら、クラスも離れちゃったし。でも勇気が出ないらしくて』


なんでも月城は隣のクラスの近衛とお近づきになりたいらしく、でも素直になれない月城はそれが言えずにいるという。


『できることは少ないかもしれないけど、少しでも月城さんのこと応援したいんです!』


なんとか背中を押してあげたいという女子生徒の提案にのり、そして徐々にクラス中を巻き込んでいき、

最初に言ってきた女子生徒二人が中心となって、月城を応援する日々が始まった。


< 370 / 416 >

この作品をシェア

pagetop