【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
『……──先生、私、月城さんのためになんとかしてあげたいんです!』
最初、一人の女子生徒が俺にそんなことを言ってきた。
そしてその時、二年生のクラスを受け持ち担任になった俺は、とある悩みを抱えていた。
月城 セレナ
彼女はいわゆるお嬢様というやつで、高飛車で上から目線、どこか他と違う雰囲気をまとっており、同年代の子からすれば近寄りがたい存在だったのだろう。
一年生の頃から浮いていて誰も近寄らず、それは二年生に上がっても変わらなかった。
どうにかクラスに馴染めさせてやりたいと思っていた、そんな時だ。
『月城さん、近衛さんと前みたいに話したいらしくて……ほら、クラスも離れちゃったし。でも勇気が出ないらしくて』
なんでも月城は隣のクラスの近衛とお近づきになりたいらしく、でも素直になれない月城はそれが言えずにいるという。
『できることは少ないかもしれないけど、少しでも月城さんのこと応援したいんです!』
なんとか背中を押してあげたいという女子生徒の提案にのり、そして徐々にクラス中を巻き込んでいき、
最初に言ってきた女子生徒二人が中心となって、月城を応援する日々が始まった。