【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「中にいるのは分かっている! さっさと出てきたまえ!!」
鬼龍院くんが大声で中に呼びかける。
だけどなんの反応もなく、それにカチンときた鬼龍院くんは……
「このまま出てこなければ、君が昔パーティーで僕に負けじとわさび入りの寿司を食べて泣いたことや、身長を高くしようとヒールの高い靴をはいてずっこけたことや」
「ス、ススス、ストーっプっっっ!!」
ドバーンと、セレナちゃんが飛び出してきた。
やっぱりセレナちゃんだった!
「その話は絶対にバラさないと約束しでしょう!? 裏切り行為だわ!!」
頭にティアラを乗せていて、紫色の豪華なドレスを身にまとっている。
まさにお姫様という感じだ。
「よし近衛クン、ミッション完了だ。先を急ごう」
「待ちなさい! ワタシの尺が短すぎるわ!!」
ぎゃんぎゃんとわめき散らすセレナちゃんに、呆れたような視線を向ける鬼龍院くん。
彼方は特別興味もないのか、眠たそうにあくびをしていた。
「とりあえず落ち着いて、セレナちゃん」
「なんなのよこの扱い! なんかこう、ワタシもちょっと感動するような雰囲気が……」
突然口を閉ざし、セレナちゃんはじっと私の右手を見た。
どうしたんだろうと私も自分の右手を見てみると、そこにはセレナちゃんと一緒に作ったブレスレットがはめられていた。
「それ、使って下さってるのですわね……」