【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
そういえば今日、セレナちゃんも来るってことで、オトギランドへはこれを付けていったんだっけ。
「大切なものだし、これしてるとセレナちゃんと本当に友達って感じがして嬉しくて」
「柚月さん……っ、感動、これぞまさに感動だわ! そこの二人、柚月さんとおそろいのアクセサリー羨ましいわよね? 心の底から羨ましいわよねぇ!?」
セレナちゃんもブレスレットを付けていて、私の腕と並べて鬼龍院くんと彼方に見せびらかす。
「くっ、ここまで月城クンを羨ましいと思う日がこようとは……!」
「柚月、今度なにかお揃いの物買いに行こう」
「え、う、うん、じゃあ買いに行こっか」
彼方とお揃いか……へへ。
《こうして感動してお城の中から出てきたお姫様は、柚月ちゃんと一緒に女王様のところへ行くことにしました》
「いやなんで君がついてくるんだい月城クン?」
「あなたこそなんでここに居るのよ。邪魔だから自分のお城にさっさと帰れば?」
「そういえばセレナちゃんは、なんでお城の中に閉じこもってたの?」
ふと気になったので聞いてみると、セレナちゃんはちょっとだけ寂しそうな顔をして……
「だって、外に出ても面白ことなんてないんだもの。誰もワタシに話しかけてくれないし、誰もワタシのことなんて……」
《ひとりぼっちのお姫様。ひとりぼっちだったお姫様》
「でも柚月さんが居てくれたから、ワタシは外に出る勇気がでたの。あとまあ……あなたたちも、ワタシのためにお城まで来てくれて、その、褒めてあげるわ!」
鬼龍院くんと彼方にそう言って、ふんとセレナちゃんはそっぽを向いた。
わかりやすすぎる照れ隠し。セレナちゃんらしいなと、なんだか微笑ましい気持ちになった。