【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
《長かった旅はもう終わり。四人はやっと、女王様のところへたどり着いたのです》
……ここに、女王様が。
だけどそのお城は今まであったお城とは違い、ボロボロでほこりっぽくて、所々黒ずんでいた。
誰かが住んでいるようには、到底思えないものだ。
「ここから先へは近衛クン、一色クン、君たちしか行けないんだ。だから僕たちはここで待たせてもらうよ」
「柚月さん、くれぐれも気をつけて」
「……うん」
見送る二人に背を向けて、彼方と共にその城の扉に手をかける。
「行くよ、柚月」
合図と共に、私は重たい扉を開けて中へと足を踏み入れた。
《こんな世界はいらないと、女王様は言いました》
頭の中に響いてくるナレーションが、いっそう不気味さを増していく。
《私を認めてくれないこんな世界、誰も私を見てくれないこんな世界、もういらない》
悲しい、切ない、寂しい、苦しい。
これはいったい、誰の感情なのだろうか。
《女王様の涙は、ずっとずっと、とまりませんでした》
足を踏み入れると、ゾワリとした感覚が全身を走り抜けた。
冷たい空気が肌に当たり、思わず立ち止まってしまいそうになるけれど……
「柚月っ」
「大丈夫、ありがとう」
彼方が手を握ってくれるから、私は前に進むことができるんだ。