【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「ねぇ、柚月」
「なに?」
すぐ耳元で囁かれた名前。
息が耳元にあたって少しくすぐったい。
「なんかね、さっきから……誰かに見られてる気がするんだ」
「ぇ」
固まる私。
ここには、私と彼方の二人きりだ。
カーテンも締め切っているし、視線なんて感じるわけがない。
「実はね、この前から、夜中になると変な音とかも……聞こえてきて、ね」
画面の中では逃げ回っていた主人公が、とうとう行き止まりに突き当たってしまったシーンで、緊張も最高潮で……。
「ほらそこ、柚月のすぐ後ろに!!」
「ひゃああああああっ!?」
「ぅわっ」
恐怖のあまり、がばっと勢いよく彼方に抱きつく。
後ろ!? 後ろになに!?
なにかいるの!?