【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「あなたも来たのね、白うさぎ」
冷ややかな視線で、彼方と私を睨み付ける。
「まあいいわ、あなたたちごと壊してあげる。こんな世界壊してあげる。ここは私の世界。私だけの世界。じゃあ壊すのも私の自由よね?」
少女がそっと、私の両手をつかむ。
「一緒に壊してしまいましょう! このつまらない世界を!」
《壊してしまえばもう悲しくはない。壊してしまえばもう泣かなくていい。だから──……》
「私はこの世界を壊したいなんて、もう思ってないよ」
「……え?」
目の前の少女が困惑した表情を浮かべる。
「なんで? どうして?」
「だって、この世界には大切な人がたくさんいるから。居場所がなくても認められなくても、私にはそれ以上に大切な人がいるから」
「大切な人?」
「あなたにもいるでしょ?」
「私は、そんな……っ」
「……柚月」
横にいた彼方が一歩、前に出る。
するとその姿は一瞬で、子どもの頃の彼方の姿になったのだ。