【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「──……き、……づき、柚月?」

「へ?」


気付くと、目の前には彼方がいた。

私の顔を心配そうに覗き込んでいる。


「大丈夫? 疲れちゃった?」

「あれ、彼方? うさぎの耳は?」

「うさぎの耳?」

「おや、うさぎの耳なら先ほど通ったショップに売っていたみたいだが?」


鬼龍院くんが園内地図を広げながら、ショップの場所を指さす。

その地図を一緒に見ているセレナちゃんが、「ワタシお腹がすいたわ」と食べるところがないか探しているようだ。


「とりあえずいったん休もうか。柚月、体調悪いとかない?」

「そ、それは大丈夫だけど……」


私の知っているオトギランドが、目の前には広がっていた。

いろんなアトラクションや大勢のお客さん、後ろを振り返ってみると『不思議の国のリアル脱出迷路《出口》』と書かれた大きなアーケードがあった。


< 403 / 416 >

この作品をシェア

pagetop