【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「──……き、……づき、柚月?」
「へ?」
気付くと、目の前には彼方がいた。
私の顔を心配そうに覗き込んでいる。
「大丈夫? 疲れちゃった?」
「あれ、彼方? うさぎの耳は?」
「うさぎの耳?」
「おや、うさぎの耳なら先ほど通ったショップに売っていたみたいだが?」
鬼龍院くんが園内地図を広げながら、ショップの場所を指さす。
その地図を一緒に見ているセレナちゃんが、「ワタシお腹がすいたわ」と食べるところがないか探しているようだ。
「とりあえずいったん休もうか。柚月、体調悪いとかない?」
「そ、それは大丈夫だけど……」
私の知っているオトギランドが、目の前には広がっていた。
いろんなアトラクションや大勢のお客さん、後ろを振り返ってみると『不思議の国のリアル脱出迷路《出口》』と書かれた大きなアーケードがあった。