【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「えっ、あの凄く速い人って本当に一色くんなの!?」
「うそ!? だって……えええ!?」
「……どうしよう、凄くカッコよくない?」
「うん、凄く……カッコいい」
ザワザワと、周りにいる女の子たちがざわつきはじめる。
それは、体育の授業でのことだ。
本日はバスケットとのことなので、男子は男子、女子は女子で別れて授業は開始。
いつもなら彼方は「んー……疲れた、もう走れない」なんて言いながら休み休み適度に頑張る、という感じなのだが……
「一色、お前……なんで今日はそんな!」
「っなんだよあれ、ぜってぇ追い付けねぇ!」
上手い、なんてレベルじゃない。
もはや他の男の子たちが指一本も触れられないほどの速さで、ドリブルをしながらゴールを目指す。
……本当に、あれは彼方?