【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「まあ、最近少しずつ涼しくなってきてますから、みなさん風邪などには充分に気をつけて下さいね」
やわらかな先生の声が響き、そこで本日の朝のホームルームは終了した。
それから午前中が終わり昼休みになると、
「一色、数学の課題見せてくれよ!」
「バスケ部に入ってくれよ一色~! 今からでもぜんぜん遅くねぇから!」
「一色、数学の課題を……」
「なあ一色、陸上には興味ねぇのか?」
「数学の課題……」
「一色、せんべい食おーぜ!」
「数学のっておい誰だせんべいで俺の顔殴ったやつ! っつーかさっきからお前らワザと邪魔してねぇか!?」
とまあこんな感じで、昼休みには彼方の周りによく人が集まるようになっていた。
前は誰かに話しかけられても「……面倒くさい」と言う感じであまり積極的に交流しようという感じではなかったのだが、
今はどこかぎこちないながらも、一人ずつ丁寧に言葉を交わしている様子だ。