【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
帰れないんだってばと言う私と、帰ればいいのにと言う彼方。
彼方、いつもはこんなこと言わないのに……。
「だから、日誌書き終わらなきゃ帰れないんだってば」
「俺に押し付けて、帰ればいいのに」
彼方の顔が、窓から差し込む夕日に照らされる。
栗色のやわらかそうな彼方の髪が、ふわりと、まだ少し暑い風になびいた。
「私だって日直だし、彼方一人置いて帰れないよ。それに見張ってないと彼方寝ちゃうかもしれないし」
「……なんで」
「ん?」
「……なんで、柚月は」
パキッと、日誌を書いている彼方のシャーペンの芯が折れた。